秋田内陸線の雑文

秋田県の鷹巣と角館を結ぶ第三セクターの秋田内陸縦貫鉄道・秋田内陸線。旧国鉄の阿仁合線(鷹ノ巣〜比立内)と角館線(角館〜松葉)を引き継ぐ形で開業しました。比立内〜松葉間が結ばれて1本に繋がったのは平成元年のことです。意外に最近ですね。もっとも、国鉄時代から繋がる予定はあったようですが。不採算ということで工事が中断していたようですが、もし国鉄時代に繋がっていたら「鷹角線」というつまらない名称になっていたようです。いかにも国鉄的ですね。もうちょっと気の利いた名称がいくらでも考えられそうですけどねぇ。ところで先日、その秋田内陸線に乗ってきましたので、どんな様子だったのか少々書いてみたいと思います。

ローカル線といえば地元の人が利用する生活路線という意味合いが強いと思いますが、この秋田内陸線には運賃の他に急行料金が必要な急行列車が走っています。つまり観光路線でもあるということでしょうか。私も急行「もりよし2号」に乗車してみることにしました。2号というからには上り列車、角館発鷹巣行きです。角館といえば檜木内川堤や武家屋敷といった桜の名所があることで有名な街だということは皆様もご存知の通りです。折しも桜の季節で、JR角館駅も大混雑。駅員さんが列車から降りてくる客に観光地図を配ったり、法被を着た商工会の方が観光案内をしていたり、臨時の売店ができていて「さくら弁当」なるものを売っていたりしていましたが、そういったものには目もくれず(いや、弁当には未練もありましたが)、JRとは独立した秋田内陸線の角館駅へと向かいます。

「もりよし」は内装も豪華で窓も大きく、いかにも観光用。たった2両編成ではありますが、飲み物の自動販売機が備え付けられている上に、ワゴンによる車内販売までありました。しかし車内はすいていて、私の他に観光客らしい姿は1組の夫婦だけ。その夫婦も最初の停車駅である八津(臨時停車らしい。近くにカタクリの群生地があり、こちらもまたシーズン)で降りてしまいましたから、あとは地元の、比較的お年を召された方々がまばらに乗っているだけです。まぁ、きっとたまたまなんでしょう。この季節、普通の観光客なら角館の桜が目当てでしょうから。


もりよし2号。阿仁合駅にて。

さて、この「もりよし」ですが、若い女性の車掌さんでした。私は不勉強故に知らなかったのですが、その筋では結構有名らしいです。無人駅(ほとんどがそうです)での乗降客の対応や車内放送といった業務に加えて、前述の車内販売までその車掌さんが行なっていました。さっきまで鞄をさげて切符を売っていたのが、今度はワゴンを押して飲みものやお菓子、おつまみ品を売っているのですから、本当、ご苦労様です。角館駅でお茶を買ってしまっていたことをちょっぴり後悔した私です。

列車はやがて山間部へと差し掛かってきます。先ほどまでは満開の桜の木を見ることができた車窓に、まだ融けずに残っている雪が目につくようになってきました。このあたり、列車は檜木内川に沿って走るのですが、素晴らしい眺めが続きます。戸沢〜阿仁マタギ間には秋田県内最長となる十二段トンネル(5697メートル)。通過時間などが車内放送でも紹介されていました。角館を出てから1時間ほどで阿仁合に到着。車掌さんとの別れを惜しみつつ、私はここで下車しました。駅にはしっかり蕎麦屋さんもありましたが、悲しいかな、私は蕎麦アレルギーなんですね。次の列車までの約2時間をつぶすために駅周辺を歩いてみることにしました。

駅前のバス停の時刻表を見ると1日2本しか運行が無くてびっくりです。仮にも阿仁町役場がある場所だというのに。ま、それはともかく、「馬刺」の幟を見つけていそいそと行ってみると残念ながら食堂ではなくて単なるお肉屋さんでした。うーん、ご飯の食べられるところは無いのかしら。コンビニも無いし。しばらくぶらぶらして、行きついた先は大阿仁川沿いにある公園です。かなりの広さの公園で、遊具もしっかりと整備され、北緯40度を示すモニュメントも誇らし気に立っていました。なによりも、桜が満開なのであります。ところが・・・人が全然いないんです。いったいなぜ? お天気も最高なんですけどねぇ。

阿仁合からは普通列車(これはワンマン運行)で鷹巣へ。車窓には先ほどまでとは一変して田園風景が広がります。この変化は飯田線のそれに近いですね。車内にも学生の姿が目立ってきました。列車は「もりよし」の名前の由来となった森吉町を過ぎ(ただし、森吉という駅はありません)、約1時間で綴子大太鼓の故郷、鷹巣へ到着です。ちなみにJR奥羽本線では鷹巣駅ではなくなぜか鷹ノ巣駅です。町の名前は鷹巣町のはずですが。これで私の秋田内陸線の旅は終わりです。ところで困ったことに駅前の食堂には「都合により休みます」の札が。コンビニも無いし。どこかご飯の食べられる場所はありませんか。

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